秋になると、山々は色づき、木々には果実が実り、田畑には豊かな収穫の季節が訪れます。
では、なぜ自然は、冬を迎える前のこの季節に、これほど多くの実りをもたらしてくれるのでしょうか。
東洋医学の「気」という考え方から一年の巡りを眺めると、冬の寒さだけでなく、夏の暑さもまた、私たちの生命力を消耗させる要因になります。
冬の消耗を抱えたまま春を迎え、芽吹く生命の勢いに体力を使い、十分に立て直せないまま夏の暑さに向かえば、知らず知らずのうちに生命力をすり減らしてしまうことも考えられます。
だからこそ、大切なのは、消耗してから補うことだけではなく、消耗する季節を迎える前に、身体を養っておくこと。
そのための重要な時期が、秋なのではないでしょうか。
秋の実りは、単なる季節の恵みではなく、これから巡ってくる一年を健やかに過ごすための備えなのかもしれません。
今回は、東洋医学の養生という視点から、秋に身体を養う意味と、旅先の食卓から始める季節の食養生について考えてみたいと思います。

滋味美動<第5話>
秋の実りは一年を健やかに過ごすための備えになる。それは日本の自然がもたらしてくれる恵みである。
