「なんで骨格矯正がいいの?」
それをはっきりと確信したのは、今から6年前のこと。妻への施術がきっかけです。
妻は、子供の頃から健康優良児で、大学卒業後、経済系出版社で働いたものの、いろいろな好奇心にとりつかれて退職し、遠い地域にボランティアしにいったり、 アルバイトしてお金が貯まればバックパッカーとなって海外(特に砂漠の国々はお気に入り)を何か月も放浪する人でした。
ハングリーはお手の物、、のはずでしたが、 結婚してまもなく追突事故に遭い、後遺障害が全身にひどく出る腰椎椎間板ヘルニアを患いました。
ただ現実は、手術を受けるレベルに到達していない椎間板の損傷ケースも多く、痛みの自覚もさまざまで、損傷がひどいはずなのに腰痛程度の症状で済んでいたり、そもそも症状の自覚すらなく済んでしまっていることも珍しくはないのです。
ところが妻のケースは、画像上では損傷がひどくないにも関わらず、足腰だけの症状に止まらず、背中や首にも症状が及ぶというひどく出るタイプでした。それはおそらく、交通事故が大きく影響していると考えられました。
私の見解ですが、仕事や生活の場での悪い体の使い方や老化の積み重ねで発症する椎間板ヘルニアは 施術で治りがよく再発もほどんどみられませんが、追突事故や衝撃の大きいスポーツで急発症させた場合は、 なかなか治らず、再発を繰り返す傾向がよくみられます。
妻は後者、ケアを続けないと緩和状態が維持できないタイプです。だから、ひどくならないよう定期的に施術をしてきました。(ある面で、その施術がそのまま私の施術方式になっているところも、、、)
ある時、触るだけでも激痛が走るほどひどく再発したことがありました。
回復のコツは、本当の本当にコツ(骨)だった?
そのため、いつもの筋肉に対する施術が全くできず、腰椎の関節だけを少しずつ矯正する最小限の施術のみが続いたことがあります。
しかし施術後結果としては、今まで中で一番良い寛解状態。ひとまず症状が落ち着くまでの回数も今までとは比にならないほど少ない。
そしていつもなら必ずと言ってもいいほどシビレや他の部位への痛み移動(軽い後遺症)が続くはずが、それが全くみられない。
さらにもっと不思議なことは、筋力は弱っていたはずで特別な運動もさせていないのに筋力まで回復している。これはどう考えてもおかしいことです。筋の痛みが解消しても、筋力回復は運動が担うのがセオリー。
これは一体・・・・?
そういえば、確か、80歳からスキーをはじめて100歳で大会に出場したアメリカ人がいたなあ、、、 よくよく考えてみると脳梗塞のリハビリも実際の現場と一般の筋理論に大きな矛盾がある。
とすると、筋肉そのものは衰えていないことになるなあ、もしかして筋肉は老化しない?まっさかあ!それはないと思うが、、、
それに、妻はまだアラフォーなのだから、70,80歳のような弱体はどう考えてもおかしい!
では、妻の身体の中で何が起こっているのか?
しばらく調べていると、ある一つの特徴ーー背骨のバネ機能を無くした状態(老化したのと同じ関節の状態)をみつけました。
そこで、背骨の全体的な機能回復ために、今まで基礎技術として使用してきた骨格矯正を改良して施術してみると、、、
妻の症状があっと言う間に良くなっていくではありませんか!特に回復後の状態維持がバツグン!
なるほど!動かす役割は筋肉で間違いないにしても、故障の直接原因が骨格にあることも珍しくないかもしれない。
早速、お客様のカルテを調べなおしてみたら、骨格矯正しか施せなかったのにも関わらず、劇的に回復した例が意外にも多数あったのです。
筋肉と骨格の両方にアプローチすることで筋機能を回復させ、運動での筋力増強を通して回復を維持してもらうのがオーソドックスな施術過程です。
筋肉は人間の体の中では万能に近い組織です。若い時に限らず、老いてもちゃんと正常な状態に再生できるのが筋肉という存在なのです。
骨格の要である関節はケガや老化ですり減ります。そして一度失えば、元の形や機能を完璧に取り戻すことはできません。
しかし、筋肉は切って貼って(の手術)をしない限りは、ケガをしても老化で衰えさせても、正しくケアすれば元の形と機能を完全に取り戻せるのです。関節とは違い、筋肉は裏切らないのです。
(東京都健康長寿医療センターでは、25歳と87歳の筋線維を取り出して調べたところ、筋線維の張力は全く同じという驚くべき研究結果を出しています。その他さまざまな検証から、筋肉は老いに影響されないことが確定しつつあるようです。)
そんな事実もあり、筋機能回復こそ痛みの解消への早道という治療業界の王道に何の疑問も持っていませんでした。
骨格矯正の可能性を再び信じて
だから、今まで骨格矯正だけで回復したお客様については”例外”として括るだけで、回復理由を追及してこなかったのです。
しかし、これらの施術結果から導き出された答えとして、根本原因も痛みの直接原因も骨格ひとつに絞っても良いケースもある症例群を仮定してみたのです。
もしかしたら、症状の発生源の比重は筋肉よりも関節にあり、その動きの悪さが筋肉に及んで、力が入りにくくなってくるだけ。 だから、関節が元通りに戻った瞬間、筋が正常な働きを発揮でき、サッとパッと行動ができる。そう考えると合点がいく。
しかし、筋肉は骨にくっついていることを踏まえて骨との連動で考え、もっと根本的な骨格を第一に着目したらどうだろう。第一段階は骨格(骨と関節)、第二段階は加えて筋肉へと広げていく。そうすれば「楽な状態が維持されない」で悩むことを減らしていけるのではないか。
そこをもっと検証していきたいなあ、、これは、関節の構造や矯正パターンに関してもっと本格的に勉強する必要がある! そこで、翌年から、あっちこっち参加していた勉強会を全てやめて、 骨格矯正だけで回復を促す研究会1つにしぼって、応用研究をはじめました。
それほどまでに、骨格矯正だけで妻が劇的回復した事実は、私にとっては衝撃的な出来事だったことは確かです。(感動のあまり、妻が良くなったその場で店名を変えてしまったくらい・・・こうしてカイロプラクティックプレイズは、骨格矯正院プレイズに変わったのです)
もちろん実際は、治療業界のセオリー通り、筋機能そのものが落ちているケースの方が多いと思います。それを担う治療家もたくさんおられ、日々多くの方の回復のために汗を流されています。
ただ私は、そういった筋機能症例群という大多数に属さず、「なぜか良くならない」と悩んだり困ったりして 路頭に迷われている方々が少なくなればうれしいなぁと取り組んでいます。
そして、近年よく報道される「平均寿命」と「健康寿命」の差が縮まり、各々に託された生涯を全うできることに貢献できたら幸せだな、と日々思っています。
「健康寿命」が骨格矯正によって更に延ばせるのではないか?との期待を持ちつつ。
2020年6月19日 院長 諸井竜介