甘く見ていた治療師の仕事
私が入学した村上整体専門医学院(東京校)は、当時の日本のカイロプラクティック教育界の中では異端児的な存在ではありましたが、伝統にとらわれない革新的な教育姿勢と、何よりも開業後長期にわたって成功しているお店の数が他校よりも圧倒的に多かった点が決め手となり、思い切って入学しました。
そして入学直後から、将来開業した時にどんなお店にするべきか、そのイメージを膨らませるために、腕が良いと評判になっているさまざまな治療院を見学をさせてもらいました。
その時感じたのは、治療界は難しくもっと焦らなければ、、、という切迫感でした。
というのも、そこに来院されているお客様の大半が、お医者さんから匙を投げられてしまった方たちだったからです。
それまで私は、整体にいらっしゃるお客様は症状の軽い方ばかりだと思っていました。
たとえば、痛みがあるため少しばかり日常生活に不便を感じている方を、若い頃に趣味だったゴルフやテニスが再び楽しめる状態に回復させる、というようなレベル。
だから、健康維持のメンテナンスにプラス、私がイメージしていたリハビリ術を少し加え、 他院よりも早く治すことで、競争を勝ち抜いていけるんじゃないかと。
そのイメージしていたリハビリ術の概要に骨格矯正が一番合っていたので、訓練校に入ろうと決めたのでしたが、、、
ところが、実際の治療院では、イメージを覆すような方々の姿があちらこちらに。
私は現実を目の当たりにして、正直焦りました。なぜなら入学する前は
「開業は簡単!一生の技術が身に付く」
「健康を仕事にすれば、くいっぱぐれはない」
「人のためになる仕事でやりがいのある人生を!」
などと、いいことばかりしか聞いていなかったからです。
習熟期間を考えてみれば、勉強する内容は同じ人体についてなのに、お医者さんは6年の勉学に対して、私はたった2年。
しかも、お医者さんでも治せない症状に対処していかなければならないとなれば、学生という身分に甘んじて”のほほん”とはしてられないぞ、 授業以外の時間は全て修業に費やすべきだ!と。
また、学業の年数差は現代医学とは全く別の医療だから、といった特色の違いで単純に片付けられない数字だろうとも思いました。
骨格矯正は、コリや痛みだけでなく指定難病、内臓の不調や精神疾患まで幅広く扱います。
しかし、私は短い期間で幅広く対応できるようになることよりも、 リハビリと筋肉骨格に特化して集中的に勉強し、筋肉の痛み解消の専門家になろう!と道を定めました。
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