教科書では、お客様がひどく痛がる症状には、主症状からアプローチせずにまわりからじわじわと痛みを和らげていくという、遠回りの手段をとるのが無難だと説明しています。
ただ実際の施術経験から言えば、手の施しようがないほどの症状を持っている方には、そういった対処は間接的な効果を与えるに留まると感じます。
わかりやすく言えば、効果というよりも、ごく小さな変化を生むに過ぎず、主症状にアプローチできるまでにはかなりの回数が必要ということです。
しかも、変化程度の効果がお客様の一番のお悩みに効くか効かないかは、 ”イチかバチか”というところもあります。
そして何よりもお客様には、多大な経済的負担を強いることになり、途中で施術を受けることを断念してしまう方が少なからずいるという大きな欠点もあります。
十数年ほど前の修行時代に、担当したお客様から来院を断念する旨を伝えられる度に、どんな人も継続的に施術を受け続けることができるには、どうすれば良いかと悩んだことがよくありました。
保健医療ならその点は問題ありませんが、骨格矯正は保険は適用されません 。となれば、いかに早く施療していくかが最短の解決策なのは明らかです。弱点は克服しなければなりません。
それで骨格矯正を中心に直接的な施療方法を治療の手段にし、長い施術期間や毎日通院といった負担を強いるような症状の重い方に限り、
該当の筋肉、関節に炎症等の不適応症状がないことを確認した上で、一番痛い箇所に対し、短期間で集中的に施療する方針をとることにしました。
これは、 早期に激しい苦痛からの解放されることを第一の目的と考えるからです。
しかし症状の痛みが激しく、その範囲も広がっている方への集中施術は、お客様の身体全体が敏感になっていることが多いので、
皮膚を触る程度のソフトタッチな施術でも痛いのはもちろん、なによりも好転反応がかなり激しく出る傾向が高いように思えます。
好転反応とは、回復に向かうサインとして出る痛みのことです。
『痛み』は身体の拒否反応、危険なものや状態に対する警告として 理解されているのが一般的ですから、 回復に向かう痛みって?と疑問に思うのもごく自然なことと思います。
しかし、回復したくない!と身体がだだをこねるという拒否反応として痛みが伴う、という現象だとしたら、いかがでしょうか?