パニック障害への誤解。本当はカラダ側の問題?
ここ数年、パニック障害は心の問題と決めてつけているかのような風潮があると感じざるを得ません。
私が学生の頃は、様々な民間療法を取り入れて、外から視床下部を遠隔操作して交感神経と副交感神経のアンバランスを解消し、パニック障害や自律神経失調症を改善させようと試みる医師や医学博士が少なからずいたものです。
しかし、近年、目にする記事や対策法は、薬物と心のケアばかり。
ストレスとはもともと、物体の外側からかけられた圧力によって歪みが生じた状態を言います。人間ならば、外側からかけられた圧力は、暑さや寒さ、騒音や混雑などの「物理的なもの」、公害物質、薬物、酸素欠乏・過剰、一酸化炭素などの「科学的なもの」、そして、人間関係や仕事上の問題、家庭の問題などの「心理・社会的なもの」であり、それらが人のこころや身体に影響(歪み)を及ぼしています。
パニック障害は、恐怖や不安、不満、鬱、抑うつによるストレスの反応として心の病みばかりがクローズアップされますが、ストレスによって傷つけられたまま動かし続けている”筋肉の病み=悪い体の使い方や肉体の酷使”という面について軽視されていないでしょうか?
症状のページでも解説しましたが、パニック障害は”自律神経の可塑性”が直接的な原因です。
つまり、通常はちょっとやそっとで乱れないはずの自律神経が、休むことなく乱れっぱなしになることで、背中や胸(肋骨の)痛みによって過緊張に陥り、息ができない、動悸、だるさなど体の症状に四六時中見舞われるようになります。
(中には社会生活を脅かす症状もあります。例えば、胸の痛み。「心臓病にでもなったんじゃないか」と思わせるほど苦しくなり、顔面蒼白になってしゃがみ込んでしまいます。また、突然の湧き上がる吐き気は瞬時にひどく嘔吐する姿をフラッシュバックさせ、人を恐怖心でいっぱいにさせます。)
そのため、いつ、どこで、どんな条件で症状が出現するかの予測が全くつかず、不安でいっぱいになる予期不安に陥るため、さらに負の感情が増し、心が病んでいく・・・。
だから、性格が豪快な人、明るく楽天的な人、いわゆるうつ病とは無縁な性格の人なのに、なんで自律神経失調に?と不思議がられるのは、心(メンタル)が原因だからという前提に基づくからであって、実際に心理状態があまり絡んでいないならば、うつ病と無縁そうな性格の持ち主が自律神経失調症になっても、別段、疑問はないのです。
これがオーソドックスな自律神経失調症発症のパターンですから、メンタルを解決しても、体の症状が歪んだままのサイクルを繰り返している限り、不調状態が改善されることはありません。この場合は、体のゆがみと筋肉の痛みもケアする必要があるのです。
では、パニック障害は具体的にどうすれば最も効率的に、そして効果的に対処できるのか、下記の各欠陥対策を見ながら検証していきます。
欠陥だらけの従来対策
多くの人は、まず病院へ行き、お薬をもらうと思います。 お薬で対応されるのは、悩み、不安から症状が生じていると見られているからだと思います。いわゆる心因性説です。
感じる体の痛みや不調が多いのに、抗不安薬、精神安定剤を渡されるのは、その理由によるのではないかと思われます。
しかし、薬は脳内の物質をいじって症状を感じなくさせているだけで、症状そのものを治しているわけではありませんから、実質は放置です。
そのため、時間の経過とともに不定愁訴が増えていくことが多いのです。
そうなると、さらに体のコントロールはきかなくなり、過剰な予期不安で気が沈み、頭重感や胸痛などの体の痛み、こわばりが発生。(肌や粘膜が敏感になり、のどの詰まり感や皮膚の痒みが出現することもあります)
また普段の生活では、頭がフラフラする感覚、光や早く動くものを見ると気分が悪くなる、暗い照明でもまぶしく感じて目がしんどい、食後気分が悪くてしかたがない(それで食に興味がなくなる)、少量の尿でも常に我慢できない(尿意発生の瞬間トイレにダッシュするくらい)などが続くことで、社会生活もままならなくなってしまいます。
それを慢性的に繰り返すようになると、体力が削れ、疲れがたまり、やる気が全く出なくなるほどの強い体のだるさが出て、何事もおっくうになってきます。加えて、体調のアップダウンを繰り返したりすると、鬱っぽくなるので、精神疾患になった!と誤解してしまうのも無理はありません。 明らかに薬で対応することが正しいような気がすると思います。
しかし、自律神経失調症には、次のタイプがあります。
前者であれば、心理カウンセリングや薬物の併用が一般的だと思いますが、 後者であれば、アンバランスになった自律神経を普通の状態に戻せば、出ている症状は消えます。
もちろん、後者でも、薬物は効くと思いますが、ただ、上記の精神不安定症状には効いても、薬の服用で血圧が変化しますので、 身体の不快が解消されない上に、全身に倦怠感を感じるようになり、
など、新たに症状が出て、日常を送れなくなってくると、来院されるお客様から伺うことが多いのです。
病院に頼らず、生活習慣を整え直すこと以外での、自律神経失調症の治療の主流は漢方だと思います。
漢方は生薬、つまり自然の素材を原料としていますので、副作用という点で、全くないとはいえないものの、化学的な薬品と比較すれば少ないと考えられ、安心感がもてます。
また、健康保険が効く薬剤もありますので、割とお手軽だと思います。
ただ、自律神経失調症において、例外はあるものの適用範囲は広いのですが、薬効においては化学的な薬品よりは効果が弱めですから、すぐに症状を改善できるわけではなく、効果が出るまである程度飲み続ける必要があります。
また症状が、動く意欲を無くすほどのだるさに見舞われるなど、日常生活に支障をきたす段階に入った場合は、 なかなか効果を見込めません。
それならば専門薬局で本場の漢方を、とレベルアップさせれば健康保険が効きませんからかなり高額となります。
また、いくら本場とはいえども、重度の段階からの改善には、無理なく静かな生活を送る必要性が生じるため、 仕事や忙しい活動を大幅に制限するといった生活設計の見直しが求められます。
しかし、改善が見られた時点で元の忙しい生活に戻ってしまえば、多くの場合は再発に見舞われ、本来の改善までなかなかたどり着けない、とのお話を来院のお客様から伺います。
では、病院に頼らず、 自己予防をとることを考えて見ましょう。
結論から先に言えば、これもなかなか難しいのが現状のようです。
なぜなら、ストレスは無意識に受けることだってあるのですから、ストレスを受けまいとすること自体に無理がありますし、性格を変える、仕事をやめるという対策も現実的ではありません。
また、もともと対人関係がうまく行かなくて不安を抱く人は、どこに行っても不安になるものでしょうし、 神経質で細かい人であれば、環境を変えたところで、心配事がなくなるわけでもないと思います。
このように、原因を排除するというという選択肢は理想的ですが、実現には無理があります。それならば視点を変えて、受けたストレスを身体の中で打ち消す方法を取るのはどうでしょうか。 これならば、性格や環境はそのままでも改善が見込めると思います。
当院での施術も、その受けたストレスを身体の中で打ち消す民間療法の一つです。 身体の不調を軽快にし、かつストレスに打ち勝つ体質への改善を促したケースを積み重ねています。